■網膜剥離の危険もあるアトピー性皮膚炎
前項では、目の周りのアトピーを掻きこわす事で、感染の可能性が高まる角膜炎について話ました。アトピー性皮膚炎の原因のひとつに、これまで、何度も「バリア機能」の低下を挙げてきましたが、これによる細菌などの体内への侵入はアトピー性皮膚炎との、思わぬ合併症を起こす事もあります。また、アトピーの痒みによって、目の周りを掻いたり、擦ったりする刺激で、目に纏わる合併症を起す事もあります。
◆網膜剥離
この病気でよく聞くのが、スポーツ選手、特にプロボクサーが、度重なる、目や、その付近のダメージにより網膜剥離を発症、引退に追い込まれるといった話ですが、アトピー性皮膚炎でも、この網膜剥離を合併症として発症することがあります。
一般的な発症理由は、網膜を内側から支えている硝子体が、老化や、強い近視で縮むことで、網膜が一緒に引っ張られるように裂けてしまう為です。
アトピー性皮膚炎との合併症の場合は、目の周りの痒みのせいで、そこを叩いたり、強く擦ったりする物理的な刺激が網膜にダメージを与えてしまうと考えられています。
網膜剥離の前兆といわれる「飛蚊症」は、目の前に虫のような影や、黒いヒモのようなものが飛んで見える症状です。長い間、アトピー性皮膚炎で目の周りを刺激し続けている人で、「飛蚊症」のような症状がある人は、一度、眼科を訪ねてみる必要があるでしょう。
掻く事で白内症にもなるアトピー性皮膚炎 >
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