■カポジ水痘様発疹症とアトピーの合併症
前項では、アトピー性皮膚炎で掻きこわした皮膚に黄色ブドウ球菌などが感染し、炎症をおこす皮膚病「とびひ」について説明しました。アトピー性皮膚炎の原因のひとつに、これまで、何度も「バリア機能」の低下を挙げてきましたが、これによる細菌などの体内への侵入はアトピー性皮膚炎との、思わぬ合併症を起こす事もあります。アトピーの痒みによって、掻き壊された皮膚は、それらの感染を容易にしてしまうマイナス要因を抱えていると言えるのです。
◆カポジ水痘様発疹症(単純ヘルペス)
カポジ水痘様発疹症は、単純ヘルペスウィルスのによる感染症で、一般的には、体調が悪い時などに、ごく狭い範囲に数個の水泡ができるのですが、アトピー性皮膚炎との合併症を起こすと、顔、首、胸、背など広い範囲に症状が及んでしまいます。
ピリピリとした痛みがあり、リンパ節が腫れ、高熱がでる事もあります。
早期に対応すれば、抗ウィルス薬の内服と適切な外用剤の使用によって、ほとんどの場合、沈静化します。この症状はステロイドの外用薬に対して、敏感な反応をしますので、この間は、非ステロイドの消炎鎮痛剤に切り換えて対応します。
カポジ水痘様発疹症は対応が遅れると重症化してしまうこともあります。その際に多いのが、アトピー性皮膚炎の悪化とカポジ水痘様発疹症を見誤ってしまうケースです。ステロイドの外用薬を使用しても、一向にアトピーの症状改善が見られない時はカポジ水痘様発疹症との合併症の可能性も疑ってみた方がいいかもしれません。
角膜炎も悪化するアトピー性皮膚炎 >
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