■アトピー素因なしでもアトピー性皮膚炎になる
これまで、「アトピーの発症」と「アトピー素因」の関係について話してきましたが、では、「アトピー素因」を持たなければ、アトピーを発症する事はないのでしょうか。
確かに可能性として、「アトピー発症」の危険が低いという事はいえるのですが、「100%発症しない」とは言えないようです。
何故かというと、アトピー発症のプロセスにおいて、「皮膚が炎症を起こす」事が最初の切っかけになりますが、この「炎症」と「アトピーー素因」には因果関係がない場合もあるからです。
生来的に敏感肌の持ち主であれば、「アトピー素因」を持たなくても、特定の刺激によって、頻繁に皮膚炎を起こす事があります。この繰り返しが原因となり「アトピー発症」に至ってしまうケースもあるようです。
1度、アトピーを発症してしまった皮膚には、アトピーになりやすい「クセ」のようなものが付いてしまうようで、「アトピー素因」なしでも、悪化してしまう事は十分に考えられます。
つまり、アトピーの発症には「アトピー素因」に基ずく、「アレルギー的な側面」と、そうではない「非アレルギー的な側面」の2つの要素があるという事なのです。ですから、治療においては、この2つの要素に関わる可能性を1つ1つ潰していく作業が必要で、この部分を明確にしておかないと、いくら薬物療法などで一時的に症状の改善を図ったところで、「症状の繰り返し」に悩まされる結果になってしまうのです。
免疫機構の過剰とアトピー性皮膚炎 >
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